Q.自己退職の成立後に、懲戒解雇を理由に退職金を不支給にできますか?

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 判例に基づいた退職金に関する事例
 Q.自己退職の成立後に、懲戒解雇を理由に退職金を不支給にできますか?

{ 事例の内容 }
自己退職成立後に懲戒解雇はできないが、「懲戒解雇者には退職金を支給しない」とする規定の趣旨を解釈することにより、不支給は不当ではないとされた事例

{ 判決の要点 }
・原告労働者の自己退職及び会社の懲戒解雇の通告
原告は昭和48年に被告会社に雇用され、平成8年当時課長の職にあったが、平成9年4月頃に原告に対して営業部門から倉庫管理部門への配置転換を命じた。
原告は平成9年5月末頃、被告会社に対し同月末日をもって退職する旨の退職届をした。
これに対し被告会社は原告に対し、平成9年9月13日付けの内容証明郵便で、原告を同年6月30日付で遡って懲戒解雇する旨の通知をした。

・退職後に背任行為を理由として遡及して懲戒解雇したとの会社の主張
1.原告には、被告会社が懲戒解雇事由として主張する背任行為(見積価格の1割高の価格で仕入れさせた外1件の背任行為)の存在が認められ、これらは被告会社が懲戒解雇事由として主張する就業規則の各条に該当すると考えられる。

2.本件では、被告会社は退職金不支給の根拠として退職金規程3条1項が「背信行為など就業規則に反し懲戒処分により解雇する場合は退職金を支給しない」旨規定していることから、平成9年9月になって原告を平成9年6月末日まで遡って懲戒解雇したと主張し、これに対し原告もまた懲戒解雇事由の存在を争って懲戒解雇の無効を主張しているところである。

3.してみると、原告、被告会社間の雇用契約は、昭和62年5月末日の経過により合意解約により終了したものというべきである。
そして、この後に被告会社が原告を懲戒解雇する余地はないものというべきであるから、原告を懲戒解雇したことを理由に退職金請求権は発生しないとする被告会社の主張は理由がない。

・雇用契約終了後の遡及懲戒解雇の可否
ところで、懲戒解雇は懲戒権の行使であるとともに雇用関係終了事由であるが、原告が被告会社に対し、かねて同日で退職する意思を表明していたことは当事者間に争いがなく、被告会社もまた同日をもって原告との雇用契約を終了させる意思であることは明らかであるから、原告・被告会社間の雇用契約は同日をもって終了したものというべきであり、その後に懲戒権を行使するということはあり得ない。

・雇用契約終了後の懲戒解雇事由該当を理由とする退職金不支給の可否
1.しかし、本来懲戒解雇事由と退職金不支給事由とは個別であるから、被告会社の退職金規程のように退職金不支給事由を懲戒解雇と関係させて規定している場合、その規定の趣旨は、現に従業員を懲戒解雇した場合のみならず、懲戒解雇の意思表示をする前に従業員から解約告知等によって雇用契約が終了した場合でも、当該従業員に退職金不支給を相当とするような懲戒解雇事由が存した場合には、退職金を支給しないものであると解することは十分に可能である。

2.このような観点から本件をみると、原告の背任行為はいずれも悪質かつ重大なものであって、被告会社に対する背信性の大きさからして本来懲戒解雇に相当するのみならず、これを理由に退職金不支給とすることも不当でないと考えられる。

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